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「波丸紋散鎧」 前田育徳会所蔵 金沢城絵図 「堂形の御細工所」 |
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金沢の風土が育んだ伝統工芸の数々に、想いを寄せて 金沢伝統工芸いまむかし 御細工所(おさいくしょ)と百工比照(ひゃっこうひしょう) 工芸技術の奨励、振興に心を砕いた加賀藩五代藩主、前田綱紀は元禄元年(一六八八年)、諸国の名工を招き、それまでの武具や武器の補修修理にあたっていた「御細工所」を、さらに調度品の製作を行う場として整備・拡充しました。 また、綱紀は全国から著名な学者や芸術家を招き、加賀百万石に学術、美術の花を咲かせました。今日の工芸美術王国としての石川県の礎は、綱紀の時代に築かれたと言っても過言ではありません。 御細工所では優れた技能を持つ技術者や職人を町人からも登用し、蒔絵・漆工芸・象嵌・刀鍛冶など二十四の職に分けて、大名調度などを製作させていました。 さらに綱紀は全国各地から優れた工芸品を多数収集するとともに、その分類にも熱心でした。それが現在、前田育徳会尊經閣文庫に残る一大工芸コレクション「百工比照」です。「百工」とは諸種の工芸、「比照」とは比較対照を指し、日本近世の工芸技術研究に欠かせない貴重な資料となっています。 現在の石川県でも、歴代藩主が美術工芸を推奨してきた歴史が受け継がれ、数々の伝統工芸・文化が暮らしの中に息づいています。 Vol.3(平成16年1月 発行)
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