左:「舞鶴 姫 アルバム」
右:「純金箔栞(しおり)」
左:「レザー丸時計」
中:「祝儀扇」
右:「差し袋」
左:「ジュエリーボックス<椿>」
右: 「ダブルコンパクトミラー」
「扇面花生 よろこび」
「詩景色花瓶 冬」 |
日本には、お正月、節分、雛祭りなど、四季折々の美しい習慣や行事があります。「室礼(しつらい)」は、そうした一年の節目、あるいは人生の節目に、人々の営みを支えるものに感謝を捧げる生活文化です。もともと調度をその場にふさわしく設えることでしたが、時代の変化とともに儀礼的な意味合いが濃くなりました。不老長寿を意味するとして尊ばれた「金」は特に室礼に好まれました。
西洋的なライフスタイルが浸透した今、人々が暮らしの中で室礼を意識することは少ないかもしれません。しかし金沢箔の上品な華やかさや、季節の意匠を取り入れて場を演出するセンスには、今に活かしたい室礼の提案を見ることができます。
加賀藩の工芸振興策により大きな発展を遂げ、今や全国生産の約99%のシェアを占める金沢箔は、美術工芸品はもとより、室内調度や小物の装飾にも使われています。
特別な日を彩る小物や、すこしだけ贅沢な日常品として。あるいは暮らしや空間を飾るアートとして―。金沢箔の煌きは、和の伝統のアイデンティティーを感じさせてくれるとともに、おしゃれでモダンな暮らしを演出しています。
丸岡
健 氏●まるおか たけし |
昭和十五年生まれ。伝統工芸士。父親の跡を継いで昭和四十六年より「上澄」の世界に入る。1300℃の熱で金合金の地金を作る「金合わせ」の工程から、これを帯状にする「延金」の作業を経て、打ち延ばし工程を数回重ね、千分の三ミリの薄さの「上澄」と呼ばれる状態を仕上げるのが上澄の仕事。打上った澄をすばやく的確に三つ折りにしていく仕立て作業は、まさに熟練の職人技。 |
■金箔の種類 |
純金箔と呼ばれる箔には、主な種類として合金率の違いから「純金箔K24」「五毛色」「一号色」「二号色」「三号色」「四号色」、金とプラチナの合金である「純金プラチナ箔」、艶消しの「絹」、模様を施した「アート箔」があります。「梅色」「三歩色」「定色」と呼ばれる純金箔もあり、さらに製法によってそれぞれ「縁付」と「断切」の二種類に分けられます。
ひとことで金といっても、種類によって赤味を帯びたもの、青味のあるものなど、その表情はさまざまで、用途によって繊細な使い分けがなされています。 |
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